BPM:88 Key:D maj 4/4 拍⼦
Intro-Verse-Pre Chorus-Chorus-Bridge-Chorus②-Outro
本作品はロボットに育てられた⼈間の少⼥とその育て親のロボットとの2⼈の「歪な愛情」、「命とは何か」をテーマにした短編(※別紙参照)をモチーフに作成したイ
ンスト曲である。短編の世界観を表現することを⽬標に Noise ⾳及びシンセサウンドで繰り返されるメロディにより機械の無機質さを、ピアノによるメロディライン及
び Strings の旋律により少⼥に宿るぬくもりや⼼情を表現している。
【パート毎の表現について】
・Intro 及び Outro では VI-IV の繰り返しにより機械の残骸たちの静けさ・無機質さを表現し、さらに、モールス信号を⽤いて壊れた機械たちの交信を表現している。
・Verse では、モチーフとなるメロディを変化をつけながら繰り返すことで、聞き⼿にモチーフの印象づけを⾏いつつ、少⼥がこれまで過ごした⽇々・思い出を何度も
繰り返し思い出している描写を表現している。
・Pre Chorus では、Verse までのメロディライン・⾳⾊から変化させることで、場⾯の転換を図っている。具体的には、Verse までのメロディは 8 分⾳符を中⼼に構成
しているが、Pre Chorus では、付点8分⾳符や付点4分⾳符を中⼼に構成し、メロディの持つリズム感を変化させている。またシンセサウンドを混ぜることで⾳⾊を
変化させており、シンセサウンドによる無機質さとピアノのぬくもりが混ざり合う、少⼥の⼼の揺らぎを描写を表現している。
・Chorus では、頭のメロディをアウフタクトから3度上へ跳躍進⾏させ、さらには Chorus 頭のコード VImのテンションである C#にすることで、突き抜けるようなよ
り印象に残りやすいメロディにしている。これは⾵が吹き抜けるような、新たな気づきを得た少⼥の⼼境の変化を表現している。
・Bridge では E dorian Scale へ移調し、さらにはグレゴリオ聖歌(キリエ)のメロディを⽤いることで、少⼥の祈りの表現を⾼めている。また、E dorian Scale と D
maj Scale では調号に変化が無いため、コード進⾏において IV-I の進⾏を繰り返しルート⾳ E を強調することで、調性の変化を印象づけている。
・Chorus②72 ⼩節⽬、76 ⼩節⽬では、メインメロの盛り上がりから Bus Drum 及びその他 Percussion の⼊りを⼀拍遅らせることで、少⼥の押さえていた感情が溢れ出
る描写を表現している。また 85 ⼩節⽬の静けさの中にメインメロディの B ⾳を響かせることで澄んだ夜空に向けて、⼿を⾼く掲げる動作を表現している。
【⾳作りについて】
・ピアノの⾳づくりについては、実物のピアノの響き⽅を参考にしている。メロディやコードを実際に弾いたものを録⾳し、マイクの位置による⾳の聞こえ⽅やデータ
化した際のピアノの⾳の響き⽅を確認することで、より⽬⽴たせたいメロディではアタック感を残した⾳⾊に、伴奏ではアタック感を消しつつ伸びて抜け感のある響き
を意識し作成した。また、メロディのピアノの⾳⾊には固さのあるシンセピアノのサウンドを混ぜ、⾳に張りを持たせることで少⼥の鋼鉄の右⼿の無機質さを表現して
いる
【楽曲イメージ短編】
『鉄の手』
星が降っていた。
崩れた街の瓦礫の上、少女は空を見上げ、そっと右手を伸ばす。
それは鉄でできた腕だった。冷たく、重く、けれど確かに、夜空に向かって真っ直ぐ
伸びていた。
足元には、壊れた機械たち。
錆びついた関節、砕けたレンズ。
少女はひとつずつ拾い上げ、小さな手向けのように静かに並べる。
その動きは震えていた。崩れかけた何かを、必死に抱きとめるように。
流れ星がひとつ、尾を引いて落ちるたび、
少女のまなざしは、やさしさと痛みとで揺れながら、ふるえていた。
命とは、なんだろう。
温かいことか。 やわらかいことか。
呼吸をすることか。 涙を流すことか。
けれど、あの鉄の腕が
わたしの頬にふれた夜──
たしかに、なにかが生まれていた。
たしかに、そこにいたのだ。
風が吹き抜ける。
星がひとつ、夜空を裂くように燃えて落ちる。
少女の鉄の手は、その光を追うように高く掲げられる。
その姿はまるで、
命なき者たちの祈りを、一身に背負う灯火のようだった。